大阪高等裁判所 昭和33年(ラ)272号 決定 1961年12月26日
三和相互銀行
理由
抗告理由第二点について。
本件記録添付の根抵当権設定契約書によると、本件根抵当権は、これによつて、債務元金額一五〇万円の限度において、長田一三が相手方(株式会社三和相互銀行)に対し、現在負担し若しくは将来負担することあるべき一切の債務を担保する趣旨の包括根抵当権であることが認められる。そもそも、根抵当権を設定する者は根抵当権設定によつて信用を設定するものであつて、抵当権者からの与信を期待し得る事実関係を予想するものである。従つて、現在および将来の一切の債務というのは、直接または間接に取引関係によつて生ずる一切の債務を意味することが通例であるが、その他の債務のために根抵当権を設定することも、当事者の意思によつてできないことはなく、私的自治・契約自由の原則上その効力を否定し得ないものである。よつて抗告人の右主張もまた理由がない。
その他本件記録を調査するも原競落許可決定には何ら違法の点が認められないから本件抗告はこれを却下する。